マスターデータ入力とは

  • ゲームクリエイター
  • 2023/01/01

目次

マスターデータとは?
マスターデータを作成するには?
マスターデータを制作する際の注意点

マスターデータとは?


 マスターデータとは、ゲームを動かすために設定する必要がある各種データのことです。

この設定されたデータは、プレイ中のゲーム状況に関わらず変動しないデータになります。例をあげるとキャラクターのレベルごとの基本ステータスやレベルアップに必要な経験値量、フィールドごとに出現する敵の情報などといったプレイヤーの操作状況に関わらずデータの内容が変動しないもので、ディレクターやプランナーが設定する情報になります。逆にプレイヤーの操作によって変更が発生するデータにつきましてはマスターデータとして設定することはできないため、エンジニアに制作を行っていただきます。

マスターの入力するのは、ディレクターやプランナーが行う作業になりますが、まずは仕様書を基にエンジニアの方で制作してくださったソースコードに対応したマスターを入力するためのデータを作成していただきます。そのデータの項目ごとに何をどのような形で入力する必要があるのかをエンジニアと擦り合せを行い制作を行います。ゲーム会社によって入力するソフトは異なりますが、Excelやgoogleスプレッドシートなどが使用されています。

マスターデータを作成するには?
 

マスターデータの入力作業については、実装作業でも最後の方に位置しております。なぜならキャラクターの実装であればイラストの制作が終わっており、ゲームで利用できるように加工済みでゲーム内に格納してあること、新規機能が必要な場合はエンジニアにソースコードを制作して頂いて、マスターデータも対応するように項目を増やしていただく必要があるからです。

下記に新規機能を実装することを前提としたマスターデータ制作までを記載させていただきます。また企画書が通った前提で進めさせていただきます。

・仕様書の作成

企画書を基に説明の不十分な仕様や実装に当たりシステム的な説明、新規で必要なデザインなどを仕様書にまとめます。仕様書の作成の際はデザイナーやエンジニアが仕様書を確認しながら制作を進めていくことになることを考慮して制作することが大切です。また新規の機能であったとしても既存のシステムに影響があるはずなので、既存の影響範囲も確認する必要がございます。仕様書の作成段階でマスターデータにはどのような方針で入力予定なのかも記載しておきます。可能であれば仮値を記載しておきましょう。その際には参考にしたデータなどがあると説得力がでます。もちろんこの段階ではあくまで仮値なので後ほど修正することも忘れずに行う必要があります。仕様書が完成してディレクターなどの上長の確認を行っていただき修正があれば対応し、問題ないということでしたら次の工程に進みます。

・デザイナー、エンジニアに相談と実装依頼

ディレクターなどの上長の確認が取れた仕様書を担当のデザイナー、エンジニアに共有します。共有の際には細かい擦り合せや疑問点、仕様書への記載漏れがあるかもしれませんので打ち合わせを行うことでスムーズに進める事ができます。もしデザイナーやエンジニアの意見を受けて修正の必要な仕様があったり、不明点などがございましたら仕様書の修正を行い、再度ディレクターにどの点を修正を行ったが問題ないかを確認、問題ないということでしたら正式にデザイナー、エンジニアに制作のご依頼となります。エンジニアへのご依頼の際には今後どの部分は書き換えて更新していきたいのでマスターデータとして入力できるようにしてほしいと共有しておくとマスターデータの基礎制作の際にエンジニアが悩む時間を減らすことができます。制作を進めていく中で作業中にも随時質問や気づかなかった漏れなど出てきますので、そのたびに仕様書への反映を行うようにしてください。後作業であるデバッグも仕様書を確認しながら行うため仕様書の記載と実装の誤差があるとバグだと認識してしまい余計な工数が発生してしまいます。デザイナーのデザインとエンジニアのソースコード、またソースコードに対応するように項目の追加されたマスターデータが完成したとご報告を頂いたら次の工程へ進みます。

・マスターデータの作成、確認、修正

デザイナーとエンジニアの作業がすべて完了してようやくマスターデータの入力作業を行うことができます。まずは仕様書作成の際に作成しておいた仮値を入力を行い、デザイナーやエンジニアが機能を反映してくださった環境にマスタデータを反映します。この際にバージョンが複数ある場合は反映する場所を間違えないようにしましょう。マスターデータの反映が完了しましたらいよいよ確認です。企画書や仕様書を制作する際に自分が想定した内容になっているか、新規機能が問題なく動くか、また新規機能に対応した既存の機能でエラーが発生しないかの実装確認を行います。確認中にマスターデータの不備や想定の挙動が行われなかった場合はマスターデータの修正対応、デザインの漏れや不備がございましたらデザイナー、進行中にエラーが起きてマスターデータが問題なさそうであればエンジニアに確認、修正依頼を行います。修正が完了したら確認を繰り返します。修正を繰り返し行い想定通りになりましたらディレクターなどの上長にご報告してデバッカーへのデバックの依頼を行います。デバッカーからあがってくるバグ報告につきましては随時対応を行い、もし各プランナーで判断に難しい、仕様的に修正が必要になる場合はディレクターなどの上長にご報告して判断を仰ぐようにしましょう。

マスターデータを制作する際の注意点

 

マスターデータの入力の際には気をつける点が多くあります。些細な入力の漏れや間違えて消してしまった場合などマスターデータの問題につきましては挙げればきりがありません。そんな注意点の一部を下記に記載させていただきます。

・更新に関係のないマスターデータは触らない

マスターデータは大量の情報が互いに紐づいています。そのため一つの内容を書き換えたことでゲーム自体が起動しなくなるやタイトル画面からHOME画面に移動できなくなるなどといったことが往々にして起こりえます。そのため更新作業を行う際にはマスター同士の関係を理解し、必要のないマスターデータには触れないようにしましょう。意図せず触れてしまうこともあるかと思いますが、気づいた時点で入力を取り消し前の状態に戻すや確実に更新が必要な部分だけを残して作り直すなどの対策を行いましょう。

・更新しているのが自分だけとは限らない

更新しているマスターデータを複数人が更新することがございます。例えば自分が次回分を更新するためにマスターデータを修正、入力している際に、現在のマスターデータで不具合があり修正する必要ができたなどです。そうなった場合は作業者同士の更新が重なってしまい片方の更新データが消えてしまったり、最悪更新が互いのデータに干渉してしまいマスターデータが破損してしまうこともあります。そのため自分がマスタを更新する前にチーム内で更新を行うことを共有しておくと、先のような緊急対応が必要になったとき担当者から緊急で対応が必要だから先に更新させてほしいと声がけをいただければ自分が作業を中断して、緊急の対応が終わった時点で改めて最新のデータに自分の更新分を合わせるといったことが可能になります。

・マスターデータは複数に紐づいていることを理解して更新の漏れがないようにする

マスターデータは複数のデータ同士が紐づいていますので、更新を行う前に更新が必要な箇所の確認を行い、他のディレクターやプランナーにも他に更新が必要な箇所がないか確認を行ってから更新作業を行うことで漏れを回避する可能性を上げることができます。

・マスターデータの更新はヒューマンエラーが起きやすいので確認は何度も行う

マスターデータの更新はどうしてもデータが多いためミスが起きてしまう可能性が高くなってしまいます。そのため更新作業後は、少し時間をおいて再チェックしてからディレクターなどの上長に確認していただくことで事前にミスを回避できる可能性を上げることができます。他にもファイル内容の比較を行うことのできるソフトを使用することで回避することができます。比較ソフトを使う際の注意点になるのですが、会社内で使用しているソフトなら問題はないのですが、もし会社内で使用していないソフトであれば上長にダウンロードして使用して問題ないか確認を取る必要がございます。

・可能な限り関数などを使用して直接入力する箇所を減らす

マスターデータは開発、運営していく中で多くの人が更新を行います。多くの人が更新作業を行うとなるとそれだけミスの可能性が上がることになります。可能な限り入力する項目が減らせればいいのですがマスターデータの性質上、長期の運営になればなるほどマスターの数が増加するのは避けられない問題です。その膨大になったマスターデータの漏れをなくすため直接入力するだけでなく関数などを用いて決められた箇所に入力が発生した際に複数の項目が自動的に入力されるように設定するなど行うことで入力漏れなどを発生させる可能性を下げることができます。また項目内容が空欄であったり、入力の形式が間違っていた際に該当内容が赤文字にするなど使用しているソフトの機能を活かすことが大切です。もちろんそれだけでミスが完全になくなるわけではありません。関数を用いた場合は参照する値を間違えていたり、関数を用いた当初の想定とは違った入力になった際にエラーが起きてしまうからです。自動入力されるからと油断せずに常に確認とマスターデータ同士の関係性を理解することを大切にする必要があります。

・修正できるように更新する前のマスターデータを保持しておく

マスターデータの入力完了後にテスト環境などに反映してテストプレイを行った際にエラーが発生すれば、マスターデータを見返しエラーの原因を究明する必要があります。そこですぐに見つかれば問題はないのですが、一見すると問題ないように見えてしまい修正箇所が全くわからないこともあります。そのような場合は、無理に原因の内容を探すよりも入力し直してしまったほうが結果的に早く解決することもあります。そのため更新前のデータを残しておく必要があります。

最後にマスターデータの更新作業は回数がどうしても多くなってしまう作業です。

そのため更新の漏れが発生していることに気づけずユーザーのプレイ可能な環境に反映してしまいユーザーの不利益に繋がってしまったことで緊急メンテナンスや補填作業といった予定のない作業で工数が必要になってしまい全体のプロジェクトに影響が出てしまい遅れてしまったりなどの運営側の不備が重なりユーザーの心が離れ売上が落ちてしまいゲーム自体のサービスが終了してしまうケースもあります。マスターデータ更新の際には丁寧かつ入力後の確認作業を徹底して行うことを心がけてください。
 

※令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成しております。